トークンが無くなった地下鉄に初めてひとりで乗った。L線の1AV駅は、上下別ホームで入り口も分かれているのに、まずそこでミス。自動券売機の前は学生らしいのが2人たむろ中。奥の別の機械は、どうキャッシュを入れるのかも分らない。
そこで、窓口で買うことにした。ゆるいカーブのある、全面透明アクリルで完全防御された窓口には、黒人のおっさんが、腕を組んで居眠りしている。僅かに声を通すための、穴がたくさん開いた小さい窓と、その下に、手も入らないスロットがある。
ハロー、ハローと呼んでも、薄目を開けるだけで、すぐにまた狸寝入りしてしまう。流石、NYだ。なんとか起こし、1weekのパスを頼み17ドルというので、10ドル札1枚と、1ドル札7枚を狭いスロットに滑りこませる。本当に嫌々そうに、おっさん、1ドル札をピッピッと千切れるように引っ張って、えらい時間をかけて1枚ずつ数えている。最後に、黄色い表の磁気カードを滑り寄越した。
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地下鉄の出口
(レンズフォト)
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裏面を見ても1weekだが何だか分らない。EXPデートが、4/30と読めた。エッ、本当に週間パスなのか、騙されて、15ドル半着服するんじゃないか。不安ながら改札へ。回転バーの前に右側に裸のカードリーダーがある。通したが、今度はなかなかGOがでない。やり直せの表示ばかり。このメトロカード、スロットに自分で通す方式なのだが、そのスピードに問題がある。余りゆっくりではエラーになる。早すぎても駄目。そのコツは、後日習得したが、誰もエスコートの居ない初日の初体験ではドキドキものだった。
やっと改札通過。だが、今度は不安から、再度改札を出て、本当に1weekかと、また窓を叩いて質問した。OKだといい、また寝てしまう。再度、改札を通過しようとしたら、エラーになる。無効だと表示。やっぱり1回のカードじゃないのか。また、おじさんをたたき起こした。今度は、指をさし、あっちから入れという。自動改札の横に、鉄製の格子戸があり、そこのキーを遠隔で制御するらしい。その格子戸から入れといわれた。
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鍵と20ドル札(レンズ・デジタルフォト) |
2度目、その格子戸から入って、今度は、電車の方向を間違えたことに気づいた。ブルックリン方面とある。中からは移動できないみたいだ。再度出て、方向を間違えたといい、地上に上がって、アベニューを渡り、反対側の地下鉄入り口に下りる。
こちらの窓口には黒人のおばさんが座っていた。こちらは居眠りはしていなかった。ところが、再度、自動改札のスロットに通しても無効と出てしまう。17ドル捨てるのか、と暗澹となった。
今度はおばさんのアクリルガラスを叩き、カードを見せて、方向を間違えたが、入れないと言った。おばさんはなんの質問もなしに、ごく通常の態度で、さっきのおっさんと同様、横の格子戸を指差し、そっちから入れという。とりあえず、ホームには入れた。このカード、明日も使えるのだろうか。
ホームはNYらしく薄暗くて、タイルの駅名表示。だが、NYの地下鉄に対する先入観は裏切られた。走ってきた、L線の電車は、予想外に最新型だった。東京の地下鉄と同様に案内表示の文字は出るし、銀座線みたいに、路線図の電光表示があって、今の位置をランプで示している。さらに、車内アナウンスもちゃんとしている。出発するときは、"Stand
clear the closing door please." (閉まるドアから離れてください)と必ずいう。次の駅名もアナウンスした。
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ユニオン駅内でソー演奏
(レンズフォト)
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後日談:メトロカードは一旦入ると18分は再入場できないシステムになっているそうだ。1枚のカードで何人も不正乗車するのを防ぐためらしい。買ったカードはその後、地下鉄、バスと1週間散々乗れた。バスの乗り換え、縦バスと横バス(アベニューとストリート)の乗り換えは、以前はトランスファーの紙片を運転手にもらったが、メトロカードは2時間以内の乗り換えは自動的に1回の運賃で乗れる。
6月に再度家内を連れてNYを訪れたときは、地下鉄は値上げになっていた。1.5ドルだったのが、2ドルになっていた。このときは、もう慣れた顔をして、券売機で20ドル分のカードを買う。そして、カードリーダーに通すスピードのコツなど、家内に教授した。(2003年6月)