Essay
【ランド・ツボイ】

  Fishing 2000
 11月の土曜日、家内のボランティアの関係で、船橋市の海老ケ作公民館に地区社協の「大穴ふれあい祭り」を見に行って屋台の焼きそばと豚汁でお昼にした。その後、久しぶりで、坪井の方へ行ってみた。
 1年ぶり位だろうか。記憶では、東葉高速の船橋日大前駅の駅舎の横から入ると、鬱蒼とした森があって、キャンプ場もあったし、春は沢山スミレが咲いていて摘んだりした。ところが、この日に再会した坪井は、すっかり森が「消滅」していた。


 

 森が無くなるとは以前から聞いていた。駅に近い、こんな便利で金になる場所を住宅地に開発しない手はない、ということだろう。

 だが、坪井の森を守る活動もあると聞いていたし、一部は保存されているのだろうと思った。
 でも実際は・・・「何もかも無くなっていた」

 綺麗な水路と公園が今後できるらしい。でも、それは、私の記憶にある森とは、まったく異質のものだ

 

  森のあったところは、新たな駅舎ができていた。その前は、できたてのロータリーと、これから建設がはじまる造成地が延々と広がっていた。
 森に隠れていた、はるかかなたの小学校や中学校の校舎が、丸裸になって、土くれの大地の向こうに立ちすくんでいるように見えた。

 前夜の強い雨のあとが剥き出しの大地をえぐっていた。日本の風景じゃないみたいだった。駅前もぬかるみが広がり、これもウェットランド・フナバシの1コマになるな、と思いつつ、靴を泥だらけにしながら、三脚を広げた。



(2004年11月)

 

 

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