付録:多孔式缶カメラ

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 7月に安曇野市主催の親子ピンホールカメラ教室を担当したが、その事前準備の一環で、久しぶりに空き缶でピンホールカメラを作ってみた。

 まずは高さはそれほど無いが、魅力的な八角形のお菓子の空き缶があったので、3つ孔(あな)式カメラを作ることにした。ついでに有馬温泉の炭酸煎餅の丸い空き缶があったので、これも丸缶カメラにすることにした。

〔1〕ピンホールの製作
  いつもの教室であれば、市販の0.05mm厚のアルミプレートをカットして子供達に配り、それでピンホールを開けさせる。だが、今回は、スローライフとエコがメインテーマなので、エコの観点から缶ビール(発泡酒)の空き缶の側面を使うことにした。can plates
  ビール缶の側面のアルミは意外と薄くて十分使用に耐える。ただ面倒なだけだ。ビール缶を分解するには、ドリルと鋏があればすぐできるが、手を切らないよう注意することが必要だ。1枚のプレートの大きさは一辺が3cmか4cm位が扱い易い。

 始めに粗めのサンドペーパーで表側の塗装と裏側のコーティングを丁寧に落とす。それから針ドリルを使い、ピンホールを開ける。この時は、いつも通りライトボックスに載せて、ルーペで孔の大きさやバリをチェックする。細かいサンドペーパーでバリを取りながら、そっと針を孔に入れて回せば完成。0.3mmから0.4mmのピンホールプレートを7枚作った。

 

〔2〕本体の製作
  缶の本体と蓋は外側は新聞紙でカバーしておいて、庭で黒スプレーで塗装した。艶消し黒のスプレー。これは乾くまでに1時間半ほどかかった。少し高いが速乾性のスプレーならば、30分以内で乾くそうだ。

 次に八角形の6辺に孔を開ける。まずは1面ごと、対角線上に定規をあてて中心を見つけて、マジックで印をつけておく。そこにガイドの孔を釘でうつか、小さい2mm程度のドリル刃(鉄鋼用)で孔を開ける。次に5mm以上のドリル刃(鉄鋼用)で孔を開けて、丸棒ヤスリと粗い三度ペーパーでバリを綺麗に取り除く。

can painted

 ピンホールは、内側から孔の中心にピンホールが来るように、パーマセルテープでとめる。
外側は、パーマセルテープでシャッターを作る。シャッターはマグネットシートや、黒いプラシートで作る人もいるが、確かに見栄えはいいのだが、ずれたりして光モレを起こすことがある。見栄えより確実性が欲しいので私はテープの方が良い。テープなら、少し古くなれば取り替えるのも簡単だ。

〔3〕印画紙押さえ
  八角形の6辺にピンホールを付けた目的は、3つ孔の多重ピンホール写真を2回撮れるカメラを作るためだった。これもリサイクルで、商品の梱包に使ってあった厚紙をハサミで切って、後は糊付けとテープ止めで印画紙押さえ(表裏で2枚入れられる)を作った。見栄えはいまいちだが、時間はほとんどかからなかった。厚紙の表に出る部分はマジックで黒く塗装。setting pinhole plates

〔4〕テスト撮影
  中に入る印画紙は変形で横長。そのため、厚紙でその大きさにガイドを作っておいて、暗室でキャビネ印画紙をハサミでカットして、3の印画紙押さえに挿入した。2枚印画紙を入れて、缶の蓋をして、蓋が浅いので念のため、周囲をぐるりと黒パーマセルテープで巻いた。

 テスト撮影になったが、もう夕方で光が弱くなってきた。それでも、自宅のベランダと玄関前で3回ほどテスト撮影した。テスト撮影の画像は、現像した印画紙をスキャナーで読み込み、ポジ反転させたもの。

 使い方によっては、面白い作品ができるカメラになった。印画紙の代わりにシートフィルムを入れてもOKだ。

【2009年7月】


test1

test2

test3

©2009 Toshihiro Hayashi
updated 2010.7.7

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